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・ 活版印刷



印刷会社・文林堂 山田善之さん
1942年、福岡市中央区生まれ。

活版印刷とは、活字を組み合わせた版にインキをつけて印刷する昔ながらの印刷技術。
凸凹感、微妙なズレにオフセット印刷にはない味わいや温もりを感じさせます。

山田さんは、活版印刷所を営むお父さまのもとで、
小学生の頃から活字を探したり買いに行ったりして家業を手伝っていました。
幼い頃から印刷の世界に身をおき、手触りの感触に触れ、
働くうちに次第に豊かな気持ちになっていったといいます。
その感覚が知らぬ間に身につき自然な流れで先代の後を継ぎ、今に至る。
現在はオフセット印刷の仕事が主で、その傍らで「カッパン倶楽部」という
活版印刷にまつわる講義やワークショップを運営されています。

□「カッパン倶楽部」とは?
メンバーは、印刷所の方やデザイナー、大学教授など印刷に興味のある人々。
活版談義をしたり、大学教授に活版のお話をしてもらったり。
毎月2回、活版印刷を通して人の手から生まれる印刷の楽しみを伝える
“プライベートプレス・ワークショップ”を開催。(講師は山田さん)
詳しくはPAPERIのHPへ→http://paperipaperi.com/



□Q、1日の流れを教えてください。
7時半頃起きたらすぐ食事、だいたいお茶漬けです。
歯磨きをして顔を洗ってバスで文林堂にむかいます。
(自宅からバス停まで歩くのがお好きだそうです。)
到着したらまずはPAPERI(カッパン倶楽部メンバー加治屋愛子さんのHP)をチェック。
と、ここで山田さんがポツリ。
「僕は作曲もするんです、ブログもやってます」
いきなり話が脱線してしまいました。
作詞、作曲が趣味の山田さん。
小学生の頃から歌うことが好きだったそうで、辛いことなんかあると
河原に行って歌っていたそうです。
その作品数にびっくり。
5曲を朗々と歌っていただきました。
(…中略)
お客さんが訪れ、打ち合わせ。
パソコンに向かって作業、印刷物の納品など。
19時頃、退社します。



□『博多方言』という本のこと
表紙は北九州市出身の作家・火野葦平さんの画。福岡市出身の作家・原田種夫さんが編集。
この本は、昭和30年に発行され、改訂版が昭和50年に発行されました。
発行所はともに「文林堂」。
先に発行されたものは、山田さんのお父様が関わり、改訂版には山田さんが携わっています。
親子代々で作られた本です。(現在は絶版)
こういう風に執筆から印刷、発行まで地元の人々が関わって作りあげられた本を見ると、
福岡の人々のつながりの深さ、方言のあたたかみを感じさせられます。


□座右の銘
「くよくよしない」

取材を終えて。
山田さんは、「印刷」という仕事を心の底から楽しんでいるという感じをうける。
印刷屋さん独特の殺伐とした感じ(一見さんはうけつけないような空気感)がなく、
いつも朗らかな表情で接してくれる。私たちからの印刷に関する難題も発明家のように
「ふむふむ」と考え、答えを導き出してくれる。
今は奥様と2人で営んでいるが、10年ほどまえには10名近い従業員を雇い、
山田さんが会社に泊まることも多々あったそう。
その時代の山田さんはどんな顔だったのだろう。どんな歌を歌っていたのだろうか。
その話はまた今度。


□文林堂
〒814-0103 福岡県福岡市城南区鳥飼5丁目2-18
グリーンマンション鳥飼1F
092-851-9531